この記事を読んだ後は、自分で肌のキメをチェックをして、問題を早めに見つけて適切なケアもできるようになりましょう。
肌のキメとは?
肌のキメとは何をさすのでしょう。肌を近くでよく観察すると、無数に走る溝が見えます。そして溝に囲まれた部分は三角形に似た形をしており、少し盛り上がっているのが肉眼でもわかります。この肌の溝を皮溝(ひこう)、盛り上がった部分を皮丘(ひきゅう)と言います。
肌のキメが整っている状態とは、皮溝と皮丘がはっきり見えて皮丘がふっくらして、形も均一になっている状態です。一方キメが粗い状態とは、皮溝が広がりまたは浅くなり、皮丘の境がわかりづらくなっている状態です。
もう一つ、キメの状態を表現する言葉があります。それはキメが細かい・粗いという表現です。
肌のキメが細かいとは、皮丘一つの大きさが小さいことです。その反対に肌のキメが粗いとは、皮丘一つの大きさが大きいことです。粗いという言葉は前述した皮溝と皮丘の境目がわからなくなっている状態と、皮丘一つのサイズが大きいことと両方の意味があります。
肌のキメが細かい人の特徴
肌のキメが細かいと、肌がツルンと滑らかですべすべしているように見えます。皮丘が均一に揃っているので、滑らかに見えるのでしょう。皮溝も細く、凸凹が目立ちません。また、肌のキメが細かい人の肌は、毛穴も引き締まっていてキレイです。肌がしっとりうるおっていることも特徴です。
このように肌のキメが細かいと肌表面が滑らかで、化粧ノリも良く崩れにくいです。つまり肌のキメが細かいと、良いことばかりなのです。美肌の持ち主は、肌のキメも細かい人が多いです。
キメ細かい肌のメリット・デメリット
キメ細かい肌のメリットは、肌がツルンと滑らかに見えることと化粧ノリが良いことでしょう。
では、キメ細かい肌のデメリットはあるのでしょうか。キメ細かい肌は女性の誰もが憧れますが、デメリットについては考えたことがないかもしれません。
そもそもなぜキメの細かさは人によって違うのでしょう。そこから考えてみたいと思います。男性と女性で比べると、一般的に女性のほうがキメ細かい肌を持っています。また皮膚の厚さは男性と女性では異なり、男性の皮膚の方が厚いのです。
加えてキメの整っている肌とキメが粗い肌を比べると、キメが整った肌のほうが柔らかで、キメが粗い肌はゴワゴワしています。
つまり皮膚が薄いとキメが細かい傾向にあり、柔らかい肌はキメ細かいのです。そうなるとキメ細かい肌のデメリットは、皮膚が薄いために傷つきやすく乾燥しやすいことであると言えます。
肌のキメが粗い原因5個
肌のキメが粗い原因は5つあります。粗いとは、皮丘一つのサイズが大きいという意味と皮丘と皮溝の境界が見えにくくなっているという意味があることは既に説明しました。
肌のコンディションが良いときに、自分の肌のキメを肉眼で観察してみることをおすすめします。肌トラブルがないときの皮丘の大きさや滑らかさなど、キメの状態を把握していると、肌の微妙な変化にも気づくことができ、キメが乱れた原因を特定しやすくなると思います。
1. 遺伝と性別
皮丘一つのサイズが大きいという意味でキメが粗い原因は、遺伝や性別という生来から持つ要素が原因になっていると言われています。キメの細かさ・粗さは遺伝すると考えられており、男女で比較すると皮膚の厚い男性はキメが粗い傾向にあります。
2. 肌の乾燥
肌の乾燥によってキメが粗くなるのは、皮丘と皮溝の境目がはっきりしなくなるという意味です。
肌が乾燥すると角質が硬くなるだけではなく、角質層の細胞が縮むことがわかっています。その結果皮溝が開いたり角質が剥がれたりして、皮溝と皮丘の境が不明瞭になり、キメが粗くなります。
3. ターンオーバーの乱れ
ターンオーバーとは肌の生まれ変わりのことを言います。紫外線を浴びる、寝不足、ストレスなどによって、肌のターンオーバーが乱れます。その結果、古い角質が上手く剥がれ落ちずに角質層に留まることで、乾燥してゴワゴワな肌になります。
ゴワゴワの硬い角質は、皮丘の盛り上がりがなく皮溝も広がった状態になり、境目が不明瞭なキメの粗い肌になります。
4. 間違った角質ケア
ターンオーバーが乱れたり肌のくすみが気になったりすると、古くなった角質を剥がすピーリングやスクラブ洗顔でお手入れすることがあります。これらのケアは正しく行えば問題ないのですが、肌質に合わないとき・やり過ぎたときには肌トラブルを引き起こします。
古くなった角質を剥がすピーリング剤は、フルーツ酸など酸を使って角質を溶かして取り除きます。加減を間違うと必要な角質まで落としてしまい、まだ成熟していない角質細胞が角質層に出てきてしまうため、肌のバリア機能が十分維持できずに肌は乾燥してしまいます。その結果、皮丘と皮溝の境目が不明瞭になり、キメが粗くなります。
5. 肌の摩擦
洗顔時にタオルでゴシゴシこする、過剰な力で顔のマッサージを行う、クレンジングで強くこする、コットンを使って保湿する時に強くこするなど、摩擦で肌を傷めることがあります。肌は薄くて繊細なので、強くこすると皮丘が壊れてしまい、キメが粗くなってしまいます。
肌のキメを整える・細かくする方法4個[スキンケア]
遺伝により皮丘の大きさは決まっているので、それを小さくすることはできません。しかし肌が荒れてキメが粗くなった状態を改善すると、皮丘の大きさは変えられなくても見た目に滑らかになりキメが細かくなったように見えます。
次にスキンケアで粗い肌のキメを整えて滑らかに、またキメ細かく見えるようキメを整える方法を紹介します。
1. 肌にマイルドな洗顔料を使う
肌の乾燥はキメを粗くするので、洗顔時にできるだけうるおいを残す洗顔料を使うことで肌が本来持つうるおいを取り戻すことができます。うるおいを残して肌を洗ってくれるのは、脱脂力がマイルドな洗浄成分を配合した洗顔料です。
キメが乱れて乾燥した肌に適した洗顔料とは
脱脂力とは皮脂を取り除く力のことです。洗顔料に配合されている洗浄成分は界面活性剤です。界面活性剤は皮膚上の油性の汚れを落とす働きをします。油性の汚れとは皮脂・古くなった角質・メイクなどです。
油性汚れを落とす性質を持つ物質は、油になじむ疎水基と水になじむ親水基を持った構造をしています。石けんもこのような構造を持つために、皮脂や油性の汚れを取り除いてくれます。つまり石けんも界面活性剤ということです。
キメが乱れて肌が乾燥しているときには、脱脂力の強い洗浄成分を使った洗顔料は使わないのが鉄則です。キメを整えるためには、洗顔時にできるだけ肌のうるおいを残す方法を考えるべきです。
脱脂力がマイルドな洗浄成分は?
界面活性剤は性質によって4つに分類されています。石けんはアニオン界面活性剤に属しています。アニオン界面活性剤は泡立ちが良く、乳化・分散に優れています。
洗顔料として考えると、石けんは乳化力つまり皮脂その他の油性の汚れを疎水基の中に取り込む力(脱脂力)が強いということです。脱脂力が強いということは、洗顔後肌の皮脂が不足しているため乾燥しやすいのです。
他方、両面界面活性剤に分類されているものは脱脂力があまり強くなく、肌にマイルドです。両面界面活性剤に分類されているのはアミノ酸系界面活性剤で、敏感肌・乾燥肌用の洗顔料に多く使われています。
アミノ酸系洗浄剤を使った洗顔料の見分け方
とことんマイルドにこだわるのであれば、石けん成分が配合された洗顔料ではなくアミノ酸系界面活性剤だけを洗浄料として使っている洗顔料がおすすめです。
アミノ酸系界面活性剤の代表的な成分名は、ココイルグルタミン酸NaやラウロイルメチルアラニンNaなど、アミノ酸の名前を見分けることができると判別できるようになります。界面活性剤に使われるアミノ酸は、アラニン、グリシン、タウリン、グルタミン酸などです。
石けんベースの洗顔料の見分け方
参考までに石けん成分を使っている洗顔料は、全成分リストにミリスチン酸、ステアリン酸、パルミチン酸などの脂肪酸と、水酸化Kや水酸化Naが書かれているので見分けることができます。
これらの成分が配合されている洗顔料は石けんベースなので、アミノ酸系界面活性剤が配合されていても洗浄力が強い可能性があるので気を付けましょう。
マイルドな洗顔料を探すときにはパッケージのうたい文句だけではなく、全成分表示を必ずチェックするようにしましょう。
2. 肌を擦りすぎない
洗顔後にタオルドライするときには、タオルで肌をこすらないように注意しましょう。タオルで優しく肌を押さえて水分をとるようにすると良いです。マッサージやクレンジングの時には、指の腹を使って力を入れずに撫でるようにしましょう。
顔の皮膚は薄いので、ゴシゴシ擦ると傷つけてしまいます。化粧水などをコットンにとって塗布する人は、コットンにたっぷり化粧品を含ませて、軽くパッティングするように塗布します。コットンで肌をこすらないように注意してください。
3. 年間を通して適切な保湿ケアを行う
肌のキメを整えるためには、乾燥は大敵です。一年を通して肌の保湿を怠らないようにしましょう。湿度は肌のうるおいに影響するので、乾燥する季節は念入りな保湿ケアが必要になります。
肌の乾燥がひどいときには、いつものお手入れにプラスして蒸しタオルを使ったパックがおすすめです。
蒸しタオルを使ったパックは簡単に家庭でできる保湿ケアなので、ぜひ取り入れてみてください。次に方法を紹介します。
蒸しタオルを使ったパックの方法
(1)メイクを落とし、洗顔をする。
(2)タオルに水を含ませしっかり絞る。
(3)タオルをレンジでチンする。
(4)タオルを広げて余分な熱を取る。
(5)体温より少し温かい程度になったら、口と鼻を塞がないようにタオルを顔に乗せてしばらく置く。
(6)タオルの熱が冷めたらタオルを取り、直ちに化粧水・クリームでしっかり保湿する。
蒸しタオルでパックした後は肌がとてもしっとりうるおっていますが、非常に乾燥しやすくなっているので、速やかに保湿するようにしましょう。
4. 日焼け止めを塗る
日焼けをすると肌が乾燥し、キメが粗くなります。うっかり日焼けをしないよう、一年を通して日焼け防止のために日焼け止めを塗るようにしましょう。
夏以外でも一年中紫外線は降り注いでいます。家の中にいても窓から紫外線は入ってくるので、スキンケアやメイクをする工程の中に日焼け止めを入れるのを習慣にすると良いですね。
肌のキメを整える・細かくする方法3個[化粧品]
今度は化粧品を使ってキメを整え、細かくする方法をご紹介します。スキンケア法と併せて行うとより効果的です。
1. 保湿力の高い化粧品を使う
化粧水・乳液・クリームは、洗顔後の肌を整えるために、必ず使いましょう。
朝洗顔したら化粧水と乳液で肌を整えた後にメイク、夜はメイクオフ・洗顔の後に化粧水とクリームがスタンダードですが、肌の乾燥具合によっては朝にクリームを使ってみるなど、常に肌の状態を観察して保湿が足りないと感じたら適宜対応しましょう。
使用する化粧品は、保湿力の高いものがおすすめです。角質層にうるおいを取り戻すことができたら、肌のキメも整うからです。
キメを整えるために角質層に必要な保湿成分
保湿成分には角質層を一時的に柔らかくする作用がある成分、角質層の水分量を増やす成分があります。角質を一時的に柔らかくする保湿成分は、グリセリンやBGなどの多価アルコール類やトレハロースやプルランなどの糖類が使われます。
角質層の水分量を増やす成分は、天然保湿成分(NMF)の約40%を構成するアミノ酸が使われています。その他ヒアルロン酸、セラミド、植物エキスなども保湿成分として配合されます。
肌をしっかり保湿するには使う化粧品だけではなく、化粧品の使い方がそれ以上に大切です。次に化粧水の保湿効果を最大限に引き出す使い方を紹介します。
2. 化粧水の保湿効果を引き出す化粧水のつけ方を行う
肌は外界から体を守るための器官です。体に有害な物質が容易に体内に入り込まないよう、保護しています。私たちがお風呂に入っても、お風呂のお湯は容易に体の中へ入ってこないようになっています。
化粧水をつけるとき、そのことを考えてみてください。化粧水の中身はほとんどが水です。皮膚表面には皮脂があり、水をはじくようになっていますし、肉眼では見づらいですが皮膚表面には産毛が生えていて、それも皮膚の保護になっています。
雑に化粧水を肌に塗るだけでは、多くが産毛や皮脂に邪魔されて角質層になじまないのです。手を使ってもコットンを使っても同じで、化粧水を肌につける時には角質層にしっかり馴染ませるように丁寧に行うようにしましょう。一通り肌になじませたら、最後にハンドプレスすると角質になじみやすくなります。
また小鼻・口や目の周りなど凸凹が多い箇所は、特に念入りに指先を使って隅々までしっかりつけるようにします。
3. 美容液を使う
さらにもう一つ特別なケアを追加したいときには、美容液を使いましょう。美容液は肌のコンディション整える作用のある成分が化粧水よりも濃い濃度で配合されているので、化粧水・乳液・クリームだけでは物足りないときに加えると良いでしょう。
保湿美容液にはヒアルロン酸、コラーゲン、セラミドなどが高濃度に配合されたものがあります。その他、ふっくら弾力を感じる肌に整えてくれるハリやエイジングケア用の美容液を使用しても良いでしょう。ハリや弾力を取り戻せたら、肌のキメも整います。
肌のキメを整える・細かくする方法3個[食べ物]
肌のキメを整え・細かく見せるには食べ物で肌を作る材料を摂取し、体の中から変えていくことも大切です。次に肌のキメを整えるために特に大事な栄養素について説明します。
1. ビタミンA、B群
ビタミンは体内で必要な物質の合成や代謝を助け、皮膚や粘膜を良い状態に保ち、体に必要な栄養素の吸収を助ける働きをする栄養素です。ビタミンが不足すると体に不調が見られるようになりますので、毎日の食事から必要量を摂る努力をしましょう。
ビタミンAの働きと食材
中でもビタミンAは肌の状態を健康に保ち、肌のうるおいを保つNMFの生成を促す働きがあるので、不足しないよう気を付けておきましょう。ビタミンAを含む食品は、にんじん・かぼちゃ・うなぎ・レバーなどです。
ビタミンBの働きと食材
ビタミンB群は肌の新陳代謝を促し、タンパク質の吸収を助けます。ビタミンBを含む食材と一緒に肉類などを食べると、タンパク質の吸収率がアップします。またビタミンBは新陳代謝を促して細胞を再生する働きがあり、健康で美しい肌を維持してくれます。ビタミンBを多く含む食材は、魚介類・豚肉・ニンニク・キノコ類などです。
2. タンパク質
成人女性が1日に必要なタンパク質摂取量は体重などによっても変わりますが、厚生労働省の資料では50gが推奨されています。ただ、摂り過ぎは体に負担をかけるので気を付けましょう。
タンパク質は体を作る材料になります。新しい皮膚を作るためにはタンパク質が必要なので、毎日の食事に良質のタンパク質を摂るようにしましょう。タンパク質を含む食品は肉類・卵・乳製品・魚介類・豆類です。
タンパク質は肉類からばかり摂るよりも、豆類や乳製品など様々な食材から少しずつ摂るようにしましょう。
3. 必須脂肪酸
必須脂肪酸とは体内で合成できない脂肪酸の総称です。
必須脂肪酸の中でもオメガ3系脂肪酸とオメガ6系脂肪酸は、肌細胞の細胞膜を作る材料になります。日本人の食生活から、最近ではオメガ3系脂肪酸が不足しがちと言われています。
オメガ3系脂肪酸が多く含まれる食材は、サバやイワシなどの青魚などの青魚です。エゴマ油や亜麻仁油にも含まれているので、サラダなどにかけて食べても良いでしょう。
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まとめ:肌のキメチェックを習慣化して早めの対処を
キメが粗いなと思ったら、肌のうるおいが失われていることがほとんどです。この記事で紹介した保湿ケアと食生活に気をつけながら毎日肌のキメチェックをする習慣づけをすると、ひどくなる前に対処できます。
食事は毎日のことなので毎回きっちり考えることは難しいかもしれませんが、一日単位あるいは1週間単位で考えるようにすると楽だと思います。継続するためにはがんばりすぎないことも大切です。